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「っ……痛った…」
「大丈夫ですか!?」
肩を押さえてうずくまるその人に恐る恐る近付いてみる。
「……大丈夫。じゃないかも」
「え?」
「肩、外れたかも」
「えぇっ!」
うずくまったまま、「うぅ……」って唸ってる。
「どうしよう、病院……そうだ、タクシー」
「ダメ!」
どうにかしなきゃ、と立ち上がろうとした私の腕を徐に彼が掴んだ。ドアにぶつかった方の腕で。
「……大丈夫ですか? 肩」
「うん、大丈夫。かも……」
かもって、動くよね? 肩。
細身のスーツにコートを着たその人は、私の腕に縋るように立ち上がり恥ずかしそうに頭を掻きながら「クリスマスケーキ、予約まだ間に合いますか?」と私に聞いた。
「まだ大丈夫ですよ? えっと……」
掴まれたままの腕に視線を落とすと彼は「ごめんなさい!」と、慌ててその腕を放した。
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