Advent Love

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「真陽ちゃんはどんな男がタイプ?」 「いや…」 「言ってよ、理想の彼氏」 「うーん、そうだなぁ。男らしくて優しくて…って、そうじゃなくて! もう本当に帰ってください」 どうしてかなぁ。本当に家まで着いてきたよ? マンションの部屋の前で、彼の背中を強めに押す。 「ちょっと待って、俺彼氏だよ? 入れてよ部屋」 いやいやいや。確かにタイプだよ? 背も高くて鼻筋もシュッとしてて、私の理想に近いよあなた。 だけど入れるわけないでしょ? 初対面の怪しい男を! 「お願い。真陽ちゃん、俺腹ぺこ……」 なのに…… バッグを漁り鍵を探している私の背後で弱々しい声がして、もう面倒くさいからいっかって、弱い自分がドアを開けた。 印鑑とか壺ならきっぱり断ればいい。だって勝手について来たのはこの人だし、彼の売上? に私は関係ない。 そう自分に言い訳して結局、彼を部屋に入れた。 ……に、しても。 「ねぇ真陽ちゃん、部屋着貸して?」 ……はい? 「ねぇ、今日の晩ご飯なに?」 What? 「真陽ちゃん可愛いな、食べちゃいたい…」 なぜ?! どうして私がこの人のために部屋着を用意して(寸足らずだけど)、この人のためにパスタを作って、この人に後ろからハグされながらお皿洗ってるの? 「あの、岡辺さん……」 「亮でしょ?」 「…りょ、亮? もう充分味わったから。彼氏の役、やってくれてありがとう。でももう大丈夫だから」 振り返って、彼の胸を押す。 こんな風に誰かの温もりを感じたのは何年ぶりだろう、なんて考えながらもやっぱり強めに押す。 「俺が大丈夫じゃないよ」 「は?」 「役じゃないし」 「へ?」 ほら、また間抜けな声が…… 「好き」 「や、何言って……」 「好きだよ」 「も、…やめて」 だからどうして? そんな言葉とは裏腹に、シンクに追い詰められた体は身動きできず、抑えられた頬が熱を持つ。 「好き…」 そう何度も甘く囁かれ、まるで魔法にかかったように、彼の瞳に吸い寄せられて素直に彼の唇を受け入れた。
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