ペテン師の暇潰し

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「ちょっとお喋りしましょうか。貴方は早く元の世界に帰りたいと思っているかもしれませんが、これも何かの縁かもしれませんからね。」  ジルは、相変わらずニコッとした表情は崩さないまま淡々と語りかけてくる。  白の空間に、白いスーツの男。いったいここは何なのだ? あの不気味な男は……何だ? 「腹の探り合いですか? 無駄ですよ。それはワタクシの得意分野です。貴方はただ黙って私の言葉に耳を傾けていれば良いんですよ。」  その言葉に、男の瞳に、心を見透かされているような錯覚に陥る。 「そうすれば、無事に元の世界に返してあげますから。」  言われてまた無意識に【次のページ】のボタンに指が伸びていく。  指が勝手に動いている事に気がつくと同時に、分離された心と体の両方がこの男に支配されている事を理解した。
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