ペテン師の暇潰し

6/10
前へ
/10ページ
次へ
「なーんちゃって、嘘ですよー。」  ジルの吊り上がっていた口の端は元に戻っており、間の抜けた声に体の力が抜けていく。 「見事、ワタクシのペテンに掛かってくれましたね。さっきの貴方の表情は滑稽でしたよ。」  嘘……か。  認識するまでに少しの間が必要だったが、ペテンに掛けられたという事実を理解したとき、言いようのない虚脱感に襲われた。  すると、再びジルに不敵な笑みが浮かぶ。 「ワタクシの役目は貴方をこの世界に閉じ込めること。貴方を閉じ込めている間に、ワタクシの相方が仕事をしているのです。」
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加