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「一心、お前またアンドロイドか? よく飽きないな」
「だよね。彼女が出来ないからってアンドロイドを彼女にしなくたっていいのに」
からかう佳吾と譜月に「うるせぇ。俺は彼女を作れないんじゃなくて、作らないだけだ。別にできないからアンドロイドに熱を入れてるわけじゃないからな!」と一心は反発する。
「だが、まさかお前らが幼稚園から大学まで全ての学歴が同じになるとは、誰も思わなかっただろうな」
話題を変え、薄く笑いながら佳吾は視線を一心と譜月に向ける。
「それを言ったら佳吾も同じじゃない」と譜月。
「俺は中学時代をアメリカで過ごしたからな。全てが一緒ってわけじゃなない」
「そういやさ、小学校六年の時に佳吾がアメリカ行くってなった時、譜月ってば佳吾に見られないところで大号泣してさ――」
「アホ! それ言うな!」
譜月にバシッっとツッコまれえる一心。
「譜月は昔から涙もろいからな。だが。それを言ったら一心。お前も幼稚園の頃、好きな子に告白したと思ったら、違う子に告白してたよな。しかも、間違えた相手が譜月」
「バ、バカ! いらんこと思い出すな!」
「いらんとか言うな!」と、何故か一心は譜月に叩かれる。
「後ろから言ったんだから、しょうがないだろ。それに佳吾だって……佳吾だって?」
「なんで疑問形なのよ。佳吾にだって笑える過去の一つや二つぐらい……あれ?」
一心と譜月は互いに首を傾げる。
「俺はお前らと違ってイジられるようなことはしてきてないからな」
見下すような口調の佳吾。その言葉が何かに触れたのか、譜月に「むきー! 一心、思い出して! 佳吾の恥ずかしい記憶を!」と火が付いた。
その後も他愛のない話は続く。そんな折、一心はふと思った。
――これからも、こいつらと一緒にいるのかな。
幼いころから、共に歩んできた友人。共有した時間は心地よく、思えばそれは何物にも代えがたい尊いものかもしれない。だが、二人はどうなのだろう。進路のことなど話したことはまだないが、大学を卒業すれば県外に出て行くのだろうか。もしそうならば……。
すると、「悪い、電話だ」と佳吾がおもむろに教室を出て行った。
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