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 ナイナイの部屋のひとつ置いた隣りが、ピートの寝床だ。屋根裏は、ナイナイが頭をこするほど天井が低い。ベッドとトランクはあっても、椅子を置けない狭さだ。  三毛猫は、ピートの枕元で丸くなって眠っていた。ピートはベッドに仰向いて、ぽかっと目を開けている。 「僕たち、ご褒美が貰えるらしい」 「知ってる。海辺の洞窟に入れられるって脅された。潮が満ちると、立ち泳ぎしなくちゃならないんだって」 「そりゃ恐ろしいな」  ピートは、水を吸ったコートを着せられているかのようにのろのろと体を起こした。 「何でそいつを助けようとしたんだよ?」 「だって価値のある猫なんだろ?」  ピートに指で首をくすぐられた三毛猫は、大欠伸をしてまた寝入っている。 「自分より上等な生き物だと思った」 「人間に捕まって売られるような、下等で間抜けな毛玉だ」 「同じ猫なのに、うえしたがあるんだ?」 「僕は使い魔だし、母親はマリマリの使い魔の筆頭だ」  マリマリに常に付き従っている猫から生まれた、唯一の雄がナイナイだった。 「それってすごいの? マリマリが偉いってことは知ってるけど、どう偉いのかもわからない」  ナイナイは息をついてベッドに腰掛けた。 「僕も牢屋に逆戻りだ。可哀相だろう?」 「オレ一人が罰を受けるようにするよ」 「どうやって?」 「どうにかして」  こどもの答えだ。
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