第2話

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「柊斗さん、一人暮らし?」 部屋に入ってまず聞くのはプライベートな一言。 別にそんなものに興味はない。 でもこういうの聞くと大抵誰でもこう言うんだ。 『そんなこと、どうでもいいじゃん?』て。 でも柊斗さんは違った。 「結婚、してるから」 気まずそうに、でも真面目に答えられて逆に焦る。 テンポ崩されたのバレたくなくて適当に相槌を打ってみる。 女物の下着とかエロ本とか、向こうの弱味を握って形勢逆転出来そうなモノを探すけどそんなもの見つからない。 それどころかこっちの歳とか心配してきたりして。 「いーじゃん。そんなの」 合図のようになっていたこの台詞を 俺から言ったのは、初めてだった。
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