第2話

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朝ごはんを作るのはいつもの事で 可愛こぶった笑顔を添えるのもいつもの事。 だからって何か求めてる訳でもない。 なんとなく、いつからか決まったお決まりの別れ方。 またどこかで会った時に笑いかけてもらえれば嬉しいってくらい。 でもありがとうって言ってもらったのも 部屋の鍵を渡されたのも いってらっしゃいを言ったのも 初めてかもしれない。 こんな得体の知れない餓鬼に部屋を預けるなんてバカじゃないの。 なんかしてやろうかなって部屋を見渡してから、ふと思い出す柊斗さんの顔。 大人っぽい顔してるくせに笑うと鼻筋がくしゃっとなって、ちょっとキュンとするような、笑顔。 もう一度 もう一度だけあの笑顔が見たいなって ただそれだけの理由で作ってしまった夕飯。 また美味しいって言ってくれるかな? いやそれ以前に怒られないかな? また勝手に冷蔵庫のモノ使った事も、まだここに居る事も。 「あー。早く帰ってこないかなぁ」 誰かを待つなんてした事なかった。 そわそわしてドキドキして でもちょっと不安で。 楽しくて仕方ない。
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