第2話

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「ご馳走様でした」 柊斗さんはやっぱり喜んで綺麗に食べてくれた。 誰かが自分の作った料理を食べてる所なんて初めて見たかも。 今までは作ったらそのまま帰ってたから。 テーブル越しに目が合うと少しだけ笑って「ん?」って聞いてくれる顔がなんかかっこよくて何度も柊斗さんを見た。 5回目くらいで「なんだよ」ってデコピンされたけど。 二人分の食器を洗い終えたら楽しかった時間ももうおしまい。 「じゃあ、俺そろそろ帰るね?」 「あー、おう」 帰る場所なんて、ないのに。 ポケットに手を入れると指先に触れた冷たい感触 「あ、そうだこれ、」 借りっぱなしだった鍵を返そうと差し出すと 「いや、いい。持ってて」 そのまま掌ごと押し返された。 「持ってていいよ。いつでもおいで。」 「……っ」 何言ってんの、この人…
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