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速攻でシャワーを浴びてネクタイを結びながらリビングに戻ると漂ってくるいい匂い。
「…唯?」
見渡せる場所に唯は居なくて、無意識に名前を呼ぶ。
数時間前に知り合った、名前しか知らない17歳
そんなほぼ他人の姿が見えなくて探すとか、何してんだ俺。
ほんと、有り得ない。
でも気になったんだ。
ベッドの上での唯は
能天気な今とは正反対の、
縋るような瞳で俺を見てたから。
寂しそうで、辛そうで。
なんか、気になったんだ。
…まあ俺の勘なんて当たったことないけど。
「あ、柊斗さんおかえり。」
どうやらトイレに居たらしい唯は俺に笑いかけるとカウンターキッチンへ入っていく。
「なに、してんの」
「あ…、ごめんね勝手に冷蔵庫あけて、」
「いやそこじゃなくて。いーにおい」
ただ置いてあるだけだった包丁とまな板を手際良く洗ってから俺の目の前に立つと、何故だかモジモジ照れくさそうに笑う。
「朝ごはん、作ったの。泊めてもらったお礼に。」
すぐ出るみたいだから、サンドイッチにしたよ
そう言って差し出された包みを見て固まる。
何……この破壊力………。
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