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「あ、ありがとう」
出来立てのサンドイッチを受け取りながらチラリと時計を盗み見るとまだ10分位は余裕がある。
「…これ、今食べてい?」
「え?うん」
そんなハラペコなのってゆるく笑う唯を無視してサンドイッチを一口頬張る。
「……うま。」
「ほんとー?よかったー」
本当に美味しかった。
男が作るサンドイッチなんて食パンに適当に何か挟む程度だと思ってた。
侮っててごめんなさい。
「唯、料理うまいんだな」
口の中に詰め込んだサンドイッチを噛みながら呟くと聞こえた、乾いた笑い声
「上手にね、なっちゃったんだよ。いつの間にか」
褒められてるのに嬉しそうでもなくて
何処か自虐的な笑いが気にかかる。
…あ。
もしかしてこれは。
こーやって売りみたいな事して寝る場所確保してた唯が
泊めてもらったお礼にとご飯作ってて
そんな生活のうちに身につけた技なのかもしれない。
そう思うと、複雑だった。
でも
「俺さ。誰かが俺のために作ってくれたご飯なんて食べたの久しぶりで」
「え?」
「だから嬉しかった。マジで」
これは、嘘じゃないから。
「…ありがと。」
素直に受け取ってもらえたかは、分からないけど。
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