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それからすぐにメンバーが集められた。ハイドロシュレッダーの正式メンバーは和弘とベースの岩井だけで、その他の構成員は必要に応じて雇っている。いつまでもうだつの上がらない和弘と運命をともにしてくれる者はなかなか現れなかった。
「いいね。」岩井は、デモを聞くなり言った。
そんなことを言われたのは、バンド結成以来初めてだった。
他の雇われメンバーたちも、普段とは目の輝きが違った。
(もしかしたらいけるかもしれない)
と和弘も思い始めた。
レコーディングは驚くほどスムーズに進んだ。まるで全てが予め定められていたかのように、なんの問題もなく曲が完成した。構成が単純なせいかもしれない。技術的な困難を伴う部分が「細雪」には何ひとつとしてなかった。
和弘にはそれが不愉快だった。彼はミュージシャンとしての技術に確固たる自負がある。だが「細雪」にはそれを生かす部分が見当たらない。バンドを初めて1年に満たない初心者でも作ることができるシンプルな曲だ。
それでも完成した曲を聴いた全員がこう思った。
これは売れる。
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