EPILOGUE

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それから長い年月がすぎ、彼はすっかり老人になっていた。 「あなたは十分に歌ってくれた」モルファット星人の長が言った。 「これからは自分のために生きてほしい。何か私達にできることはありますか?」 彼の願いは地球への帰還だった。残り少ない人生を故郷の惑星で過ごしたい。 それだけが唯一の願いだった。 「ひとつ問題があります」と長は言った。 「ここから地球までは何百光年も離れています。普通に移動したのでは、貴方は地球に戻る前に老衰で死んでしまうでしょう。幸い私達には<ゲート>がある。そこを通れば数時間で地球にたどり着くことができます」 「ただし」と長は続ける。 「<ゲート>の中では時間の流れが無視されます。少しばかりおかしなことが起こるかもしれません」 それでもいい、と和弘は言った。 彼はただ、地球の土に還りたいと願った。
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