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大妃殿の広場、中庭は、色とりどりの灯籠で飾られている。今日はお釈迦様の誕生日、八関会である。端女の子玉は灯籠を飾るのに忙しく、宮女の青郁は大妃の側で今宵の行事内容を確認している。
国王のいらっしゃる王宮では文武百官や多くの関係者を招いて盛大にお祝いするが、ここ大妃殿は、主人である大妃様を中心とした内輪のものだ。それでも宴席が設けられ、歌舞音曲が行われる。
夜も更け、全てが終わった後、二人は中庭の灯籠を眺めながら寄り添って歩いた。
「今日は仏様のお誕生日だけど何かお願いしたの?」
青郁が訊ねた。
「はい、青郁さまといつまでも一緒にいられますようにと」
子玉の答に青郁は笑みを浮かべたのだった。
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