第一話 修平と勝利

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「今日って、何かあった?」 不思議そうな顔で俺を見つめる。 今日は、家で飯食ってるから、コーヒーゼリーにソフトクリーム載せて出すコーヒーショップに連れて行こうと、店の駐車場に車を停めたとこだった。 夜だからちゃんと厚着しろって言ったら、生地は厚くてもだぼだぼのトレーナーを着て来た。 胸元ががっつり開いてて目のやり場に困る。 さっき、チラ見したら肩と鎖骨が見えてエロかった。 下はレギンスで足のラインが生々しく透けて見えるし。 「別に」 「別なんて事ないよ。……まだ今日、会って一度もキスしてない 」 慶子はそう言って、口を尖らせ、俺から目を反らした。 この後のキャバクラが憂鬱で、いつも欠かさないのに、まだ今日は慶子に触れていなかった。 『俺、こう言うところ、不器用なんだよな』 なんて心の中で独りごちる。 「ばっ、怒んなよ」 「怒ってないもん、絶賛キス待ちで、助手席でストライキしてるだけだもん」 ストライキって言うのはな、世の労働者が雇用主に怒ってやるもんだぜ。 怒ってんだろ。 「しなかったらどうするってんだ」 「嘘、してくれるって思ったから言ったのに!」 慶子が驚いて、振り返るのを見計らって、慶子の手を引きサイドブレーキの上の位置で唇を重ねて、濃厚に舌を絡めた。 やっと、ディープキスに慣れてきたのか、今日は嫌がらす、息を詰まらせながらも、慶子は甘い声を洩らした。 湿った唇同士が重なり合う独特のリップ音と共に。
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