41人が本棚に入れています
本棚に追加
「今日って、何かあった?」
不思議そうな顔で俺を見つめる。
今日は、家で飯食ってるから、コーヒーゼリーにソフトクリーム載せて出すコーヒーショップに連れて行こうと、店の駐車場に車を停めたとこだった。
夜だからちゃんと厚着しろって言ったら、生地は厚くてもだぼだぼのトレーナーを着て来た。
胸元ががっつり開いてて目のやり場に困る。
さっき、チラ見したら肩と鎖骨が見えてエロかった。
下はレギンスで足のラインが生々しく透けて見えるし。
「別に」
「別なんて事ないよ。……まだ今日、会って一度もキスしてない 」
慶子はそう言って、口を尖らせ、俺から目を反らした。
この後のキャバクラが憂鬱で、いつも欠かさないのに、まだ今日は慶子に触れていなかった。
『俺、こう言うところ、不器用なんだよな』
なんて心の中で独りごちる。
「ばっ、怒んなよ」
「怒ってないもん、絶賛キス待ちで、助手席でストライキしてるだけだもん」
ストライキって言うのはな、世の労働者が雇用主に怒ってやるもんだぜ。
怒ってんだろ。
「しなかったらどうするってんだ」
「嘘、してくれるって思ったから言ったのに!」
慶子が驚いて、振り返るのを見計らって、慶子の手を引きサイドブレーキの上の位置で唇を重ねて、濃厚に舌を絡めた。
やっと、ディープキスに慣れてきたのか、今日は嫌がらす、息を詰まらせながらも、慶子は甘い声を洩らした。
湿った唇同士が重なり合う独特のリップ音と共に。
最初のコメントを投稿しよう!