78人が本棚に入れています
本棚に追加
純平は耳をピンと立てた。
――男に雷が?
「ああ。意識も戻ってないって聞いたけど」
「雷ってやっぱり怖いよね~」
僅かに震える仕草をした後、女は上着を脱ぎ始めた。そのまま下に来ていたインナーも脱ぎ、ミニスカートをまくり上げて露わになった太ももをタオルで拭う。落雷と男の話の続きが気になっていた純平だが、全て吹っ飛んだ。
照れたように視線を外した誠司に、女は悪戯っぽく「ヤりたい?」と笑う。
その展開に眩暈を起こしそうな純平だったが、誠司は傍にあった自分のパーカーを女の肩にぱさりと掛けた。
「意味わかんね」
「ん~、だめか。……サンキュ。コレ借りるね」
女はパーカーを抱えて、少しだけ寂しそうに笑った。
――勿体ない! 抱けよ誠司、抱いちまえよ。
純平はついつい興奮し、二人の足元でミャーミャー鳴いた。
「あれ? セージくん猫なんか飼ってた? 踏んじゃうとこだった」
「拾ったんだ。ちょうど雷落ちた辺りで」
「へぇー、セージくん優しいなあ~。名前は?」
満面の笑みで女は純平を抱き上げ、チュッと鼻先にキスをした。眼下でブラジャーからはみ出しそうな胸がプルンと揺れる。純平の毛がゾワッと逆立った。
「ちくわ」
「ヤダ変な名前」
「竹輪みたいだろ。白地で背中がこんがり焼き色で」
「ホントだ」
最初のコメントを投稿しよう!