曇りのち雨、ところにより猫

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「でも……なんで」 歓喜と放心で再び目を潤ませた誠司は、ゆっくりと立ち上がり、純平に向かい合った。 「……あなたは?」 「話せば長くなるけど、その前に伝えたいことがある。拾ってくれてありがとう。それから……友達にならないか」 誠司がきょとんと見つめて来る。いくら何でも唐突だったかと純平が思ったその時。 こちらめがけて、遠くから女が駆けてきた。あの時のツインテールだ。 「こんの、単細胞!!」女は誠司の横をすり抜けて、手錠で繋がれた赤毛の男にそのままの勢いで飛び蹴りした。警官も引きずられるように道路に転倒する。 「いってえな、少しは兄を敬え!」男は半泣きで叫んだ。 「あんたが警察の世話になるたびに、誰が呼び出されると思ってるのよ! ちょっとは自立しろ、……このシスコン!」 文句のひとつも言わせぬ勢いで、警官もろとも後部座席に詰め込むと、女は助手席に乗り込んだ。思い出したように窓を開いて、身を乗り出す。 「セージくん、迷惑掛けてごめんね。あんな男と血が繋がってるってバレたら嫌われちゃうかと思って、怖くて言えなかったの。……お願い。私のこと、嫌いにならないで」 「え、あ……うん」勢いに押される形で、誠司が頷いたところで、純情ぶって目を潤ませていたツインテールはにっこり笑った。 一瞬のうちに別人だ。
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