曇りのち雨、ところにより猫

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まだ少しプルプルする手足で、フローリングの床を歩いてみる。四足なのに、ちゃんと歩けた。 青年がじっと傍に座ってこちらを見ているのが感じられ、ちょっと照れくさくて机の下に潜り込んだ。 机の下には情報工学だの機械工学だの、難し気なテキストがぎっちりと置かれていた。現役の大学生なのだろうか。 そんな詮索をしていると、不意に後ろからカシャリと小気味よい音がした。体中の血がゾワッと歓喜に沸き、振り返る。ただのスーパーのレジ袋なのに、完全に意識がロックオンされた。もうそれしか見えない。 体を低くして尻だけピンと上げ、左右にクイクイッと振ったあと、マッハの速さで猛突進。ズサッと飛び込んで袋の中で暴れていると、急に首の後ろを掴まれて取り出され、膝の上に乗せられた。 「おいちくわ。あんまり暴れるなよ」 怒られるのかと身構えたのに、やはり優しい声が落ちて来て、そして温かい手が今度は喉を撫でて来た。無意識に喉の奥からゴロゴロという音がこぼれて来る。脳が蕩けそうに気持ち良かった。頭より数ランク上だ。 ――ああ俺、やばい……。
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