曇りのち雨、ところにより猫

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けれど 至福の時間は呆気なく終わり、純平は再び抱え上げられた。そして今度は軽い小石の敷き詰められた容器に入れられる。 「俺これからバイトだから、その前にトイレ覚えとけ。ここでおしっこと ウンチ、するんだぞ」 そう言って指先で純平のお尻をトントンとつつく。 「!」 純平はあまりの恥ずかしさに“トイレ”を飛び出し、部屋中を闇雲に暴走した。くず 籠にぶつかって一緒に転倒し、中のものが散乱してやっと我に返る。 「うあ~やっちまったな、ちくわ。掃除する時間ねぇのに」 それでも怒る気配もなく青年は笑っている。青年の大らかさにジンとしながら、申し訳ない気持ちで純平は散乱したゴミを見渡した。 けれど数枚のDMハガキに書かれた宛名を見て、心臓 がドクンと跳ねた。 ――村井誠司。 その名も住所も知っている。 『殺して来い 』と純平が依頼された、ターゲットだった。
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