かわいい妹

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この日もグレーテルに腕を掴まれ、外に出た。五分くらい森のなかを歩くと川が見えてくる。 川で水遊びをしたかったようで、僕を振り回す。 僕らは二人で遊ぶことがほとんどだ。 「お兄ちゃん!!」 そうやって笑顔を向ける妹は太陽のようだった。 僕とグレーテルの性格は月と太陽。 物静かなのが僕なら、賑やかなのがグレーテル。 一つのことを集中してできるなら、飽きっぽいのがグレーテルだ。 正反対な性格。 だけど、僕は妹のグレーテルが好きだ。 かわいい僕の妹。 友達にはシスコンなんて言われたりする。 でも、仕方ないじゃないか。 僕にはグレーテルしかいないんだから。 深い森の少し入ったところに僕らの家があって、町まではかなり遠い。一時間くらい歩かないと着かない。 僕には、その町に友達がいるけど、グレーテルはいない。だから、僕しか遊び相手がいないのだ。
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