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「……どうしたの?」
「あ、ああ。ごめん。気のせいみたいだ」
いきなり後ろを向いたからグレーテルは驚いたようだ。
僕は首を横に振ると、グレーテルは気を取り直して、また歌をうたっている。
グレーテルが歌っているのも上の空で、僕はずっと後ろが気になっていた。
何か胸騒ぎがする。
意味もなく動悸が大きくなって、何か悪いものが後ろにいるような気がした。
やっとグレーテルの歌が終わった。
「グレーテル、僕疲れたから帰っていい?」
そういうと、グレーテルは心配した表情で僕の顔を覗いた。
「大丈夫? すごく顔色悪いわよ?」
こういった心配した表情は死んだ母さんに似ている。
僕は少し笑った。
「休めばよくなるよ。帰ろう」
大人しくグレーテルは頷いてくれた。
父さんはもう帰ってるかな。
そんなことを考えながら、背後を気にする。
凄くむず痒かった。
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