かわいい妹

8/8
前へ
/34ページ
次へ
「……どうしたの?」 「あ、ああ。ごめん。気のせいみたいだ」 いきなり後ろを向いたからグレーテルは驚いたようだ。 僕は首を横に振ると、グレーテルは気を取り直して、また歌をうたっている。 グレーテルが歌っているのも上の空で、僕はずっと後ろが気になっていた。 何か胸騒ぎがする。 意味もなく動悸が大きくなって、何か悪いものが後ろにいるような気がした。 やっとグレーテルの歌が終わった。 「グレーテル、僕疲れたから帰っていい?」 そういうと、グレーテルは心配した表情で僕の顔を覗いた。 「大丈夫? すごく顔色悪いわよ?」 こういった心配した表情は死んだ母さんに似ている。 僕は少し笑った。 「休めばよくなるよ。帰ろう」 大人しくグレーテルは頷いてくれた。 父さんはもう帰ってるかな。 そんなことを考えながら、背後を気にする。 凄くむず痒かった。
/34ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加