#36 るい

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「今日、付き合えよ」 ゆう子さんに本格的に避けられて、身も心もやさぐれて、どうでもよくなりそうだ。 龍太に八当たるように電話すると、ただ事じゃない雰囲気を察して、龍太がすぐに現れた。 土曜の夜だったから、既に飲んでいた俺は、インターホンがなっても立ち上がりもせずに、 「開いてるぞー」 と、不躾に叫ぶ。 玄関のドアが開いて龍太が入ってくる。 「お・・お前・・・目が坐ってるよ」 俺の顔を見た龍太がぎょっとしたように言う。 「仕方ないだろ?飲んでるんだから。」 「まだ、そんなに飲んでないじゃん。何やさぐれてんの?」 テーブルの上には、ビールの缶が二つほど転がっている。 もちろん、まだ、飲んだうちに入らない。 「やさぐれてる?やさぐれてないし。」 恰好悪いところをすべて知っている幼馴染の前だから、落ち込んでいるところを隠しもしない俺。 「なんか・・・めんどくせーことになってるな・・・」 苦笑いしている龍太。 「今日は、お前を潰す。潰して憂さ晴らしする。覚悟しろ」 「憂さ晴らしって・・・なんて迷惑な奴だ」 龍太は、大げさにため息をついて、俺の前に腰を下ろし、 「で?何があった?」 と、言った。 「・・・・別に。」 「もしかしてゆう子さんからフラれたか?」 「・・・・」 「まじ?告ったの?」 「・・・告ったけど・・・」 もう、きっと、ダメだってことなのだろう。
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