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目が覚めると早良くんの腕の中にいた。
自分の家に帰る意思を見せたはずなのに、早良くんと一緒にいられる誘惑に負けてしまったんだ。
昨日は、大して飲んでいない。
ビールを一杯と焼酎を二杯。いつもなら、いい気分にもならない量だ。
美羽ちゃんが川原くんと付き合いだしたから、私から誘って一緒に飲みに行った。
女の私から見ても、儚くて壊れそうで、でも、芯がある美羽ちゃん。
白い肌に頬を染めて、幸せでいっぱいに見えた。
美羽ちゃんは私たちの微妙な距離間に気づいていて、早良くんとはどうなんですか?って聞かれたんだ。
素直で純粋な美羽ちゃんを目の前にすると、私の恋心など、まやかしに見えて、崩れ落ちてしまった。
最近、ろくに眠れていないというのも原因だと思うけど、そこからは記憶が途切れているから眠ってしまったのだろう。
美羽ちゃんが、早良くんを呼んでくれたのだろうか。
悪いことをしたな・・・と反省する。
「・・・・ん」
早良くんが隣で寝返りを打ったと思ったら、目が開いた。
「あ・・・ゆう子さん・・・起きたんですか?」
早良くんは、眠そうに上体を起こす。
ど、どうしよう。
心の準備が出来ていなかったから、何を言っていいか分からない。
「気持ち悪くないですか?」
起き抜けにも関わらず、きれいな顔で私を覗き込む。
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