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次の平日で、美羽ちゃんと二人きりのシフトになった。
「美羽ちゃん、この前はほんっとーにごめんね。」
パンッと顔の前で手を打ち合わせ、謝るポーズを作る。
「ゆう子さん、気にしないでください。私こそ、ゆう子さんが体調悪いの気づかずに、自分の話ばっかりして・・・」
美羽ちゃんはすまなさそうに言う。
「いやいや、違うよ。ほんとに迷惑ばかりかけてしまって・・・」
更衣室を出て、ホールへ向かう。
「美羽ちゃん、早良くんに連絡してくれたんだね。ありがとうね」
準備をしながら話す。
「あ・・・えっと・・・」
美羽ちゃんが何か言いたげに作業の手を止めた。
「気を遣わせちゃったね」
「いや・・そんな・・・」
ろくに話も出来ないまま、お客さんがまばらに入り出す。
今は、バイトに集中しなくちゃ。
急いで頭を切り替える。
平日の忙しい日に当たってしまったみたいで、何も考えずに動けるのは、身体は疲れるけど、ありがたかった。
「ねぇ、ゆう子さん。早良くんのことですけど・・」
美羽ちゃんが遠慮がちに切り出す。
バイトが終わって、更衣室で着替えているところだ。
「うん・・・もう、いいんだ」
これ以上、早良くんを振り回してはいけない。
「早良くんって、ゆう子さんのこと好きですよね?ゆう子さんは違うんですか?」
美羽ちゃんが鋭く核心をつく。
「・・・だってさ・・・」
あぁ、もう、弱音を吐いてしまいそうになる。
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