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「ほんとに悪かった。」
ゆう子さんの家の前で下ろしてもらうと、龍太は勢いよく頭を下げた。
「もう、いいって」
きっと、龍太はきっかけにすぎない。
俺だって長い間、友達以上恋人未満の関係に甘んじていたし、ゆう子さんに向き合うのが怖かった。
本当は、もっともっと前に、既に好きだったはずなのに。
ゆう子さんの家のインターホンを鳴らす。
「え?早良くん?どうしたの?」
ゆう子さんがびっくりしながらドアを開けた。
すっぴんに眼鏡のゆう子さん。
「ゆう子さん、話があります」
俺がゆう子さんに詰め寄ると、ゆう子さんは眼鏡の奥の瞳を丸くした。
「ゆう子さんのことが好きです。ゆう子さんは俺のこと、どう思っていますか?」
「・・・・」
ゆう子さんの顔が苦し気に歪む。
ドアを閉められる前に、ゆう子さんとの距離を一気に詰める。
「俺は、あなたとずっと一緒にいたいです。あなたが留学しようが、海外に行こうが、関係ないです。」
「早良くん・・・」
ぽろぽろと大粒の涙をこぼすゆう子さん。水滴で眼鏡が曇る。
「ゆう子さんの気持ちが聞きたいです・・・」
徐々に距離を詰める。
ゆう子さんは逃げない。
玄関の壁に押し付けて、唇を奪った。
しょっぱいのは、ゆう子さんの涙だろうか。
ゆう子さんは泣き続ける。
弾力のある唇が俺の脳裏を刺激する。
ゆう子さんは深いキスに応えてくれた。
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