#66 るい スタートラインに立つ

3/9
552人が本棚に入れています
本棚に追加
/480ページ
そうこうしているうちに5月に入り、ゆう子さんに既に渡仏していることを悟られないようにしていたのが、ぼろがでそうになる。 だから、最近は、テレビ電話も忙しいという理由でしていない。 もう5月。ゆう子さんに渡仏していることを隠すのも、無理があるような気がする。 「俺もたいがいバカだな・・・・」 殺風景な部屋の中で呟く。 簡単な朝食をとって、学校へ行く準備をした。 ほぼ何もない部屋を見渡すと、さすがに寂しさが募ってくる。 朝っぱらから何を弱気になっているんだか。 鍵を閉めて、通りに出て歩き始めると、そういえば、そろそろ第二希望の会社の合否が決まる頃だと気づいた。 第一志望の会社に力を入れていたから、第二希望の会社は受かっている自信があまりない。 ため息をついて学校へ向かった。 午前中の講義が終わって、日本からワーホリで来ている奴らと中庭で合流し、昼食を取っていたときに、メールを受信した。 母さんから引き継いだ不動産のことかな? メールを開くと・・・・・ 喉がひゅっと鳴って、息を飲みこんだ。 間違いじゃないかと、目を疑うが、一字一句間違いはない。 「よっしゃ!!!!」 思わず勢いよく立ち上がる。 そのままメールの文章にくぎ付けになる。 「びっくりしたー」 「るいー、どうしたの?」 語学学校で仲良くなった日本人カップルが呼びかけているけど、それどころじゃなかった。
/480ページ

最初のコメントを投稿しよう!