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清涼殿の大広間で、一の宮と二の宮が紙袋の中身を取り出す。
「その箱は?」
「温冷マグ」
「どこで売ってんの?」
「ハンズ」
二人はなかなか皇国から出て、遊びに行くことが出来ない。たまに皇都におりるくらい。鳥居から常滑まで出て来て、さらに名古屋まで遊びに行くなんて夢。
行けない自分を想って、誕生日プレゼントをいっぱい買ってきてくれた。
電力に乏しいこの国では、電化製品は少ない。
発電は風力発電と火力発電のみ。
ソーラーパネルを持ってきても発電しない。
「プレステでゲームしてえ」
二の宮が日本にいた頃を懐かしむ。
テレビもなく、ラジオもなく。
「ある日、できるようになるから」
袋の奥から、スモークサーモンと麹漬け。
「うまそう」
袋を片付けて、隣にある箱をあける。
日本酒一升瓶。指定の銘柄。
いつの間にか、将皇も寄ってくる。
水のように飲まれては困る。
いつの間にか、二の宮がつまみ始める。
つまみばっか食べられては困る。
「はっぴばーすでー、にーちゃーん」
「勝手に始めるな」
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