ノリで同性婚しちゃった話

プロローグ

6月某日。空は梅雨特有のどんより曇り空。

ジューンブライドだ。

出会って1年3ヶ月。私達は今日の良き日を迎えることになった。

ここは結婚式場ではない。

市役所を貸し切って執り行われる。

何故なら私達は特別だからだ。

父と腕を組み、会場に入ると後ろから旦那様が見えた。

茶色の明るい髪にグレーのフロックコートをまとっている。

いつも素敵だけれど、今日は格別だ。

私のウェディングドレス姿を見て、「とっても綺麗だよ」と言ってくれた。

感激で始まる前から涙が出そう……。

指輪を交換し、誓いのキスを交わすと歓声が沸き起こった。

「これがS町初めての同性婚です。光月さん、樹里さん本当におめでとうございます！」

そう、私達はS町初の同性夫婦になったのである。