いつか聖夜に

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ある年、ニコは長い手紙を書きました。 自分が、いかに愚かな日々を送ってきたのかを。今までは書くことのなかった、数えきれない小さな過ちを。 それは、取るに足らないものだったかもしれないけれど、全てを打ち明けたかった。大好きなあの人に。 “Mr.サンタクロース──僕は、謝らなくちゃいけない。 子供の頃初めてあなたに書いた手紙の約束を、果たせそうにないからです。 僕がどう生きてきたのかを知られるのが怖い、あなたにもらったプレゼントを無駄にしてしまうのが怖い。 …けれど、もう駄目だと思うのです。 こんな冷たい家に独りぼっちでいる男に、あの約束が守れるわけがないでしょう? だから…もうプレゼントはいりません。今までありがとう。ごめんなさい、さようなら。” ニコはペンを置いたあと、泣きました。こんな手紙を書く自分が、悲しくて、大嫌いになりました。 でも、もうプレゼントをもらい続ける理由が見付かりません。それは、手紙を書く理由をなくしてしまったということです。 「これで、本当に独りぼっちになってしまうな…。」 ニコの声が白い息になって、オモチャの町に降って、消えてゆきます。 あの日、小さなニコはサンタさんになにをお願いしたのでしょう。そして、どんな約束をしたのでしょうか。
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