いつか聖夜に

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────サンタさんが目を覚ますと、辺りはもう忙しく動き回っていました。 体には毛布が掛けられていて、手にはあの手紙が握られたままでした。袋の底にあった、最後の一通です。 ああ、あのまま眠ってしまったのか…そんなことを思いながら、もう一度手紙を開きます。 「さて、本当に…どうしてあげたものか…。」 困ったような言葉とは裏腹に、その声は嬉しそうでした。 “サンタさんへ──初めまして、僕の名前はニコといいます。 僕の欲しいものは、年です。早くおじいさんになる為です。 どうしてかというと、サンタクロースになりたいからです。 いつも皆を笑顔にしてくれて、お父さんも、お母さんも犬のドウドウも、サンタさんを待っている間は、ケンカなんてしません。 だから僕は、サンタクロースになりたい。 でも、お母さんが“サンタさんはおじいさんでなくちゃなれないのよ”って言ったんです。 僕は早くおじいさんになりたい。そしてサンタクロースになって、サンタさんのお手伝いをしたいのです。 だから、僕にたくさん年をください。どうか、どうかお願いです。” サンタさんは考えます。年は、プレゼント出来るものではないからです。 けれど、ニコの望みは叶えてあげたいと思いました。それで思い付いたのです。
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