16人が本棚に入れています
本棚に追加
/19ページ
────サンタさんが目を覚ますと、辺りはもう忙しく動き回っていました。
体には毛布が掛けられていて、手にはあの手紙が握られたままでした。袋の底にあった、最後の一通です。
ああ、あのまま眠ってしまったのか…そんなことを思いながら、もう一度手紙を開きます。
「さて、本当に…どうしてあげたものか…。」
困ったような言葉とは裏腹に、その声は嬉しそうでした。
“サンタさんへ──初めまして、僕の名前はニコといいます。
僕の欲しいものは、年です。早くおじいさんになる為です。
どうしてかというと、サンタクロースになりたいからです。
いつも皆を笑顔にしてくれて、お父さんも、お母さんも犬のドウドウも、サンタさんを待っている間は、ケンカなんてしません。
だから僕は、サンタクロースになりたい。
でも、お母さんが“サンタさんはおじいさんでなくちゃなれないのよ”って言ったんです。
僕は早くおじいさんになりたい。そしてサンタクロースになって、サンタさんのお手伝いをしたいのです。
だから、僕にたくさん年をください。どうか、どうかお願いです。”
サンタさんは考えます。年は、プレゼント出来るものではないからです。
けれど、ニコの望みは叶えてあげたいと思いました。それで思い付いたのです。
最初のコメントを投稿しよう!