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ニコから、悲しい手紙が届いた年のクリスマスイブ。
Ho-Ho-Ho!
サンタさんは、一際元気よく声をあげます。
あちらこちらにソリを止めては、“よっこらしょ”と重いお尻でお家の中へ。
そして、子供達へのプレゼントを靴下に滑り込ませるのです。
さあ、これで全員。あとは、ニコのところへ向かうだけです。
その頃ニコは、もうサンタさんを待つ必要もないと、初めてイブに夜更かしをしていました。
もう来るわけがないから、暖炉だって赤赤と燃えたままです。
「今頃、サンタさんはどこの夜空を走っているのかな。」
そんなことを呟くと、また涙が零れてきます。あの手紙を書いた日から、ずっとこうなのです。
と、風が窓をガタガタと揺らしました。
外がぽわんと明るくなった気がして、ニコが窓辺へ近付いた時でした。ガラスに映った自分と目があったのです。
しわくちゃな顔に真っ白なひげ…少しでもサンタさんに近付きたくて、長年掛けて蓄えた自慢のひげです。
でも、よく見ると格好が違っています。
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