いつか聖夜に

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────ちゃんと届けた証しにそれを贈るよ。──── あの時、サンタさんのくれた手紙はこう続いていました。 “サンタクロースになって、私を手伝ってくれるのかい? ああニコ!とっても嬉しい申し出だが…サンタになるには、何年も修業が必要なんだ。 いっぱい泣いて、いっぱい笑って、怒ったり喜んだりしてね。 私がおじいさんなのは、長く修業したからさ。 だからニコ、君もプレゼントの年がいっぱい溜まるまでに、たくさん経験を積んでおくといい。” 「僕は、あなたのようにたくさんの人を幸せにしたかった。 それなのに自分の子供達や妻にさえ、笑顔より、悲しみや怒った顔をさせることのほうが多かった。 これじゃあ、あなたの手伝いなんて…サンタクロースになんてなれない。」 ニコは子供のように泣きじゃくります。サンタさんがなにを言っても、首を横に振るばかりです。 でも…でも…でも…でも…。そればっかり。
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