いつか聖夜に

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サンタさんは、そんなニコを見て言いました。 「ああ…やっぱりそうだ。」 その声はとても穏やかで、ニコが目を上げると、その顔は笑っていました。 「ニコ、君はサンタクロースに“なれない”って言ったけれど、それは違うみたいだ。」 「え…?」 ニコは“よくわからない”と言いたげです。それでもサンタさんは言葉を続けました。 「まだ修業が足りないのさ、笑顔が足りないんだよ。さっき君が言っていたことさ。」 「でも…。」 「違うのかい?」 「でも…!」 ニコは思います。僕はおじいさんになるまで頑張ったのに…と。 なにが足りなかったっていうの?まだなにをしろっていうの? そう思ったら…悔しくて、どんなに強く唇を噛んでも、涙を止めることが出来ませんでした。 どんどん俯いていくニコに、突然、大きな声が降ってきました。 Ho-Ho-Ho! 「ニコ!もっと笑いなさい。君は笑顔が足りないんだ。そう、君にさ! そんな表情で人に笑ってほしいなんて無茶な話だよ!…君自身が笑っていられるように、皆と生きなさい! それが……それが、私が君に伝えそびれた言葉だ。」
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