いつか聖夜に

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「…僕が、笑っていられるように?」 大きく見開かれた目には、戸惑いが揺れています。 「そうだよ。だから、今年も君にプレゼントを持って来たんだ。」 サンタさんは、ニコの手に小さな包みをのせて、にっこりと微笑みました。 「メリークリスマス、ニコ。」 次に気が付いた時、そこはもう朝になっていました。 夢のような記憶は、手のひらの“証し”が確かなものにしてくれています。 包みを開くと、小さなクリスマスツリーが入っていました。 昔よりずっと器用に細工されたそれを、ニコは町の真ん中にそっと置いて呟きました。 「メリークリスマス。」 その日、ニコは子供達に電話をして、そう伝えたのでした。────
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