いつか聖夜に

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朝、まだ暖炉に火も入っていないというのに、二階から階段を駆け降りて来る足音が聞こえてきます。 ニコです。 彼はテーブルの上の、 空になったコップとお皿を見付けると、クッキーのくずが落ちるのも構わずにそのお皿をひっくり返しました。 そして、手紙がなくなっているのがわかると、大喜びして白い息を弾ませながら、そこら中を躍り回ったのでした。 “サンタさんが来てくれた!僕の手紙を読んでくれたんだ!”って。 それからハッと立ち止まると、暖炉へ駆け寄りました。 家族の写真が飾られたマントルピースにぶら下げてある靴下が、ほんの少しだけふっくらしています。 ニコはこくんと息を呑むと、急いでダイニングへ走ります。 椅子を引き摺って来て、よじのぼって…やっと靴下に手が届いたところで、それごと転げ落ちてしまいました。
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