笠地蔵

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 あくまで成長した場所の情報を読み取ってその姿を変えていくわけです。  そして、この数年で初めてわかった生態を持つのがこちらですね。  笠をかぶった個体です。  こちらですが、笠はこの地蔵の体組織の一部ではありません。あくまで別の生物、寄生虫です。この寄生虫は地蔵から栄養をもらう代わりに、地蔵は雨風による体力の消耗を防ぐ事ができる、という共生関係にあるわけです。  そしてこの笠地蔵の一番興味深い生態として、大量の食料、及び現金を猛吹雪の夜になると、住み着いた地域、近隣で、一番悪意のない、かつ、経済状態が悪い人が住む家の前に置いていく、という点にあります。  これ、もちろん聞いたことがありますよね。  昔話の笠地蔵です。  笠が売れなかったおじいさんが、雪の日に笠を地蔵にかけた所、その日の夜に恩返しとして食べ物と金銀財宝が置かれていた、という寓話ですね。この寓話が作られた当初はまだ地蔵自体が無機物として考えられていましたので。  この笠地蔵の個体は、どうやら、この寓話をもとにして行動している、と考えられています。  そしてここで、学説が二つでてきたわけですね。  ノーマルの地蔵が寓話の笠地蔵を何らかの形で知り、そこからこの行動を起こすようになったとする、寓話先行説。  そしてもう一つが、笠地蔵の寓話自体がほぼ実話であり、最初に笠をかぶせられた地蔵が実際に恩を感じて品物を置いていった。そしてそれをのちの個体が真似ているという、初期笠地蔵実在説。  現在のところ、この二つの学説が有力とされており、決め手にかけている状態です。  さて、次回以降はこのどちらの学説がより真実に近いのか、もしくは全く別の説が正しいのか、というのを、フィールドワーク等を通して、探っていこうかと思います。  えーと、そろそろ時間ですかね?  では、また次回、第五小教室で行うので時間に送れないように。
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