第5章

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「俺は近道して帰るけど、お前はどうする?」 しばしの沈黙の後、保憲が晴明を振り返った。式と共に飛んで帰ろうというのだろう。 「皆と一緒に帰ります」 「馬の背に揺られてか……酔狂なやつだ。傷が痛むだろうに」 保憲の言葉に心配げな顔になった博雅に晴明が言う。 「お前の馬に乗せてくれるか」 「いいとも。前に乗って俺に寄りかかるといい」 ぱっと博雅の顔が明るくなった。 「博雅殿!晴明殿!出立の支度が出来ました」 木立の向こうから綱の声。呼びかけられて二人歩き出す。 昇ったばかりの太陽が、赤と金と紫に彩られた晩秋の木々を清らかに照らしていた。 ------------------------------------------------------ 了
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