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「出会ってたった五日の男がなにを言っているんだって思われそうだけど、向日葵が好きだよ。……一緒に思い出の品に触れると、じいちゃんたちの過去を知ることができたからとか、そんな理由じゃない」
一呼吸置き、さらに強い力で手を握られた。
「向日葵の笑顔が好きだ。優しいところも好き。自分の気持ちに正直で真っ直ぐなところも。……これから先もずっと一緒にいたいと思うほど好きなんだ」
「楓くっ……!」
最後まで言えず、涙が零れ落ちる。
信じられない。――でも信じたい。
好きな人の言葉も気持ちも。
「とりあえずさ、連絡先を交換してくれないか? もっと向日葵のことを知りたいし、向日葵にも俺のことも知って欲しいんだ」
何度も頷き、大きく深呼吸をする。
自分の気持ちも伝えないと。好きって二文字を。
彼が伝えてくれたように、私も。
微笑む楓君の瞳を捉え、切り出した。
「出会ってたった五日なのに、信じてもらえないかもしれないけど、楓君が好き」
大きく目を見開く彼に好きなところを挙げていく。
「ちょっぴり意地悪だけどカッコよくて、宗助さんを想って泣いちゃう優しい人で。そんな楓君が大好き。……これからもずっとそばにいたい」
「向日葵……」
掴まれた手の力が緩んだ瞬間、思い切って自分から楓君の胸の中に飛び込んだ。
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