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「ママ、パパ! これやりたい!!」
甚平を纏った小さな身体を大きく揺らして指差す先にあったのは、祭り実行委員会のブース。
そこには【五年後の自分に手紙を書こう!】という企画だった。
「花もみんなみたいに手紙書きたい!!」
ブースで書いている人たちを羨ましそうに見る娘の花。
その姿に隣を歩く楓君と微笑ましく見つめてしまう。
「よし、じゃあ花! みんなで書きっこしようか」
「書きっこ?」
可愛く首を傾げる花の身体を抱き上げ、楓君は言った。
「三人で五年後の自分に手紙を書こう」
楓君の話に花は目を輝かせた。
「花書くー!! 自分に手紙書きたい!」
「じゃあ書こう」
五年後の自分に書く手紙。
届け先である五年後の私は、今よりもっと幸せなはず。
そう信じていいよね?
「向日葵、早く」
「ママ、早くおいでー!」
「はーい」
先に受付まで行ってしまったふたりの後を追い掛けた。
幸せな未来を願いながら。
END
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