5人が本棚に入れています
本棚に追加
そう感じ始めたのは、ここ数日の間だ。
「では、話していきますね。自分の行く先々で、かつて面識のあった者、または自分が好意を抱いている女性の声が聞こえてくるのです。その声は、誰の声なのかハッキリと分かりました。しかし聞こえるのはわたしだけのようだったんです。周りにいる人たちは、その声には全く気がついていない様子だったんです。おかしいですよね...わたしにしか聞こえない声。わたしの心の中だけで聞こえるわたしの好きな人たちの声。わたしは、ふと思い出したんです。中学時代に読んだことのあるSF小説なんですが、そのSF小説に出てくる人物達は皆、言葉を発することなくテレパシーで会話をしていたんですよ。しかし、実際にテレパスなんて有るはずが無いって思いますよね。でも有ったんですよ。テレパシーは存在していました。
自分にテレパシーの能力があることに気がついたのは、そうですね...一週間ぐらい前のことです。
一週間前、確かわたしは、飲み友達3名と居酒屋に飲みに行ったんですが、それから飲み終わってからの16時間くらいの記憶が全く無いんです。わたしは、カーテンの隙間から漏れる日の光を感じ目覚めたんです。わたしは、自室の万年床に横たわっていました。、すでに17時にさしかかろうという時間帯でした。わたしは、その日、会社が休みだったのでいつもよりも多く睡眠を取って次の日に備えていたんです。飲みに行って疲れてそのまま寝込んでしまったに違いない。これでは気持ちが悪いと思い、わたしは、いつもは昼過ぎにシャワーを浴びないのだが、その日はシャワーを浴びたんです。わたしは、髪を洗おうとシャンプーを少量手に取り、頭をゴシゴシと擦ったのです。そのときです、頭に異変を感じたのは。頭頂部に手術の縫合跡のようなデコボコを発見しました。わたしは、不気味に思い、皮膚科を受診しました。しかし、病院の先生は、「特におかしな所見は見受けられません」としか言ってくれず、話に取り合ってくれなかったんです。 」
最初のコメントを投稿しよう!