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「それからも、わたしは今まで通り仕事に没頭していた。
そのうち、わたしは、頭の手術痕のことを少しずつではあるが、気に留めなくなっていったのです。
それから、わたしは、毎日激しい吐き気と頭痛に悩まされた。我慢の限界に達したわたしは、会社を1週間ほど休むことにしたんです。」 「それは大変ですね...あまり無理して働くとかえって体に毒ですよ、休養も大事ですから十分休んでください。そうそう!超能力か何かで今まで関わったことのある人達や好きな女性の声が聞こえてくるということですが具体的にどのような事が聞こえるのでしょうか?」 「具体的には、わたしに対し、今の仕事を辞めて他の仕事をしろと言うのです。」 「それは、なぜなんでしょう?」 「それは、わたしが選ばれし者だからです。」 「選ばれし者ですか?選ばれたとはどういうことを?」 「それは...それはですね。」 「???」 「うわあああああああああああ」 「ど、どうしたんです!?」 「いえ、すみません。恥ずかしくてつい...」 「恥ずかしいの?なんで?」 「それは、わたしが出来損ないのクズ人間で、女の人を物と見る卑劣漢で、馬鹿で、脳足りんで、中身は性犯罪者だからです。」 「....そんなことないですよ。あなたには十分良い所があります。あなたがそう思っているのは、その会社の人達にそのように言われているからではありませんか?」 「そうかもしれませんね。」 「いいですか?あまり自分の事を卑下してはなりません。卑下しすぎると心が荒んできて本当にさっき仰ったような人物になってしまいますよ。ちょっといいかな?周りに居る人たちのことをあなたはどう思っていますか?」 「善い人たちだと思っていますが?」 「本当ですか?あなたにあんな酷い事をいう人たちがですか?」 「はい。善い人たちです。」 「それはなぜです?」 「それは、わたしが悪いことをしているからです。」 「解答になっていませんが?」 「答えは、単純明快ですよ。善が存在すれば、そこに必ず悪が存在する。善と悪は、共に表裏一体。ものの見方の違いによりけりですよ」 「あなたの言うことは、分かります。こーいうことですか?日本とアメリカが戦争をしたよね?その時、日本から見たらアメリカは敵...アメリカから見たら日本は敵...見方によると...」 「はい」
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