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「その通りですよ。よく分かりますね。」 「だってさっきあなたが話していましたからね。まさか、あなた、自分の話していることを、忘れているんでは?」 「そうかも知れません。言った端から自分の言った事を忘れているのかも知れません。」 「それは、重大な問題ですよ。記憶障害とも何か関連がある可能性があるかもしれませんよ。」 「そんなに、事を大袈裟にしないで下さい。ちゃんと覚えてますから大丈夫ですよ。」 「それならいいんですが。ほら、さっきあなたは、選ばれし者だって言っていましたよね?その話をもう少し詳しく聞かせてくれないかな?」 「はい、わたしはある組織に従属しているのです。そこの組織に従属している理由というのが、人質がいるからなんです。」
「人質ですか...あなたはその人と面会は出来たのでしょうか?」 「はい。少しは。」 「なら良かったですね。」 「わたしは、一生懸命働きました。一生懸命働くことがその人の喜びになるからです。」「良いことじゃありませんか。それはとても善い事ですよ。誰かに喜んでもらう為にガンバルって良いことだと思うけどな~。」「でも、途中でなんだかバカバカしくなって業務怠慢を起こしたのです。」 「あなたが業務を怠るとその人はどうなってしまうのでしょうか?」 「殺されるか...生きたまま火炙りですかね。」 「殺される?火炙り?異常では有りませんか?どうなっているのですか?警察には相談したのですか?」 「していませんし、言う気にもなりません。」 「なぜです?」 「警察に言ったりすれば、本当に殺されてしまいます。コンクリートに生き埋めにされて海に沈められてしまうんですよ!!!」 「ますますやばいじゃありませんか!!というかさっきからあなた話が脱線し過ぎではありませんか?組織に従属しているのは人質がいるから...それと選ばれし者とは、どのような関係が?」 「全てはその女性が引き金になっているんです。一度その女性に瞳を見つめられたことがありましてそれ以来、心を支配されてしまったんです。なんていうか、相手の眼(まなこ)に吸い込まれるような...そして組織よりもその女性のほうを優先的に考えるようになったのです。」 「あなたは、その女性を好きになったわけですね?」 「はい」
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