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「お言葉だけど、君たちの予想は外れてるよ、残念ながら」 景樹さんが、綺音を私のところにおいて向かったのは、コソコソ陰口を言っていた若い彼女たちの方だった。 「しっ、城田課長!!」 彼女たちも、私には聞こえてるかもしれなくても、まさか景樹さんにまで聞こえてるなんて思わなかったみたいで、驚いている。 ...私も景樹さんが聞いてるなんて思わなかったし。 「俺はね、関西に実家があって、その実家があまり裕福じゃなかったから、仕送りしてたんだ、当時」 景樹さんの関西弁は、今ではすっかり抜けている。 だから、綺音にも関西弁はまったく入っていない。 「それに、俺は、音楽の方に趣味があってね。そっちにも金を使ってしまっていた」 ...それ、嘘じゃん。 使ってしまっていた? 今でも使ってるからね。 まぁ、数少ない景樹さんの趣味だからいいのだけど。
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