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俺は昔から聖那のことが好きだ。 初めて好きになったのはいつだったんだろう、そんなの昔すぎて覚えてないけど。 聖那の家がうちの隣に引っ越してきたのは、俺と聖那が幼稚園に入る前だったらしい。 もしかしたら、その頃から俺は聖那のことが好きだったのかもしれない。 やっぱり、そんなの昔すぎて覚えてないけど。 でも、俺は幼稚園の頃、聖那に振られたからな。 「聖那、ひろくんのお嫁さんにだけは絶対にならないもん!!」 どうしてそんな話になったのかはもう忘れてしまったけれど。 聖那にそう言われたことだけは、しっかりと覚えているあたり、その頃にはすでに聖那のことが好きだったのかもしれない。 覚えているのは、ただ一つ... 聖那はその時、幼稚園の水色のスモッグを着ていた。 「僕だって聖那みたいな泣き虫嫌だね」 そう言い放ったくせに泣いていたのは俺だった気がする。
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