4.君の隣にいる人

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矢野とはずっと連絡は取り合っていた。 矢野は俺が実家に帰ってきてから一年後、作家の登竜門と呼ばれるコンクールで大賞に輝いて、専業作家になった。 いつか俺と彼女の話を書いてくれって電話越しに頼んだら、笑いながら承諾してくれた。 俺と直子が付き合うようになったことは矢野には言えなかった。 きっとそれを知れば、彼女を支えるのはきっと矢野になる。 矢野はいいヤツだし、アイツなら彼女と付き合っても安心だ。 そう思う一方、”俺がもしも病気にならなければ今頃彼女の隣にいるのは俺だから”と思わずにはいられなかった。 そう、俺は恋人がいるにも関わらず、無事に完治した時には彼女にもう一度プロポーズしたい、そう思っていた。 そんな俺をすべて受けとめてくれた直子には本当に心から感謝している。
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