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クロが僕に渡したネックレス。
それは生前クロが、いや、ガクが首に付けていたおばあちゃんお手製のネックレスだった。
それを見た瞬間、僕の目から涙が溢れ出した。どうして泣いているのかわからない。わからないけど、まるで目の前で沈む夕日のように紅く輝くネックレスを見て、涙が溢れた。
「う、、うぅ、、ひっ、く、、っ、」
止まらない。もっと聞きたいことがあるのに。話したいことがあるのに。
いくら我慢しても、涙が溢れ出てきてしまった。
「本当に、ごめんよ。シュン。でも、今は時間がない。僕と、おばあちゃんの最後のお願いを聞いてほしい。」
クロはいつものように優しい声で言った。
今考えてみれば、泣いている僕をもっと悲しませないように、自分も泣きたいのを我慢してそんな言い方をしてくれたのかもしれない。
クロは泣く僕の正面に立って、しっかりと顔を見て言った。
「昔、君がお父さんがいないことでからかわれて泣いて帰ってきた時に、僕が言ったことを覚えているかい?」
僕は呼吸が整えきれない中
「無いものの事を、、っ、、考える、、よりっ、、今あることに、、っ、感謝しろっ、、」
覚えていることを、そのまま言った。
「うん。そんなことを言ったね。でも、どれだけいい方向に考えようとしても悪い思考になってしまう時がある。」
クロは僕の顔から目線をはなさなかった。
「そんなときは仕方がない。思いっきり、苦しんでほしい。」
だから、僕はそれに少しでも応えようとしっかりクロの顔をみた。
「苦しんで、悩んで、もがいてほしい。それでどうにもならなくても、そうした事が君を成長させてくれると思うから。」
でもクロの体が少しずつ、消えかけていることに気づき、目線が揺らいだ。
「く、、クロっ、、体が、、っ、、」
クロは続けた。自分が言いたいことを言い切るために。
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