僕と喋る猫。

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そして、 「そうした事を経て、君には優しい人になって欲しい。そして、泣くよりも笑うことの方が多い、充実した人生を歩んでほしい。」 と、言った。 もう足元は薄くなって見えていない。 街を紅に染め上げていた夕日も沈み終わりかけている。 それでもクロは話やめない。 「これを頭の中心にずっと置いておいてほしいわけじゃない。頭の隅っこに置いておいて、このネックレスを見た時にふと思い出してくれればそれでいい。ただ、わすれないでいてほしい。」 「それが、僕と、おばあちゃんのお願いだ。聞いて、くれるかな?」 もう足だけじゃなく、体全体が薄くなっている。残された時間をすべて使ってこのことを伝えてくれてクロに僕は 「、、、わかった。約束する。」 と、しっかり目をみて、力強く言った。 「それなら、よかった。今まで、ありがとう。」 「僕の方こそ、ありがとう。」そう言い終わる前に、クロは沈む夕日と共に、 少し冷えた秋風と共に、消えていった。
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