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───それから、数年後
春になり、僕は高校2年生になる前の春休みを迎えていた。
身震いするほどの寒さと、 なんの生き物も植物も目立たない冬とは一変して、春は、太陽が照ってポカポカしている。
上を見上げれば青く、澄み渡った空があり、下を見れば、桜や花々の絨毯が広がっている。僕はそんな春が好きで、この頃はいつも気分がいい。
学校でも、充実した日々を送っていた。
部活はサッカー部に入り、この前レギュラーを取ることができた。
また、クラスはコウと一緒になることができ、そのお陰かある程度の友達もできた。今年も一緒になれればいいな。
問題があるとすれば、成績ぐらいだ。
ぐらいって言えるほどの事じゃないけどね。
始業式。
僕はいつものように支度をして、朝ごはんを食べて、家を出ようとした。
相変わらず母は仕事が忙しく、朝は早くに家を出てしまうが、土日には余裕が出来たため、話すことが増えた。
高校2年にもなってこんなことを言うのはなんだが、少し嬉しい。
そんなことを思いながら
「やべ、早く行かなきゃ。」
と、慌ててドアノブに手をかけた。
すると、ふと、右手に付けていた紅いネックレスに気づいた。
あれは昔、クロから貰った宝物だ。
長さを変えて、今はハンドネックレスにしている。
「クロ。俺は笑顔で過ごしてるよ。」
そんなことを考えながら、いつものように小さな声で
「いってきます。」
と、言って家を出ようとした。
その時
「いってらっしゃい。」
後ろから、声がした、ような気がした。
「、、、クロっ!?」
ビックリして振り返ったが、やはりそこには誰も、何もいなかった。
「まぁ、そーだよな、、、よし。行こう。」
無いものはない。
今あるものに、感謝しろ。
そう思いながら僕は、俺は、
勢いよく家を飛び出していった───
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