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でも、1度だけ泣きながら帰ってきた事があった。
「うぅ....っ..ひっ..く...」
「どうしたんだい?シュン?」
そんな時でも、クロは優しく聞いてくれた。
「じ、、っ、、実は、、」
実は、学校で父親の仕事についての話になった時、親がいないことでひどくからかわれたのだ。
親友のコウは僕のことを庇い、慰めてくれたが、それでも心の傷は癒えなかった。
その話を聞いた後、クロは
「いいかい。シュン。人の事なんて気にする必要はないんだよ。君にはお母さんがいるじゃないか。」
優しく、囁くようにそう言ってくれた。
「ううっ、、っ、で、でもぉ、、、」
それでも、なかなか僕は泣きやむ事が出来なかった。余程傷ついていたからだろう。
そこでクロは僕にもう一言付け加えた。
「シュン。よく聞くんだ。無いものは無い。こればかりは、仕方のない事なんだよ。そんな事ばかり考えていても、もっと悲しくなるだけだろ?」
僕は乱れる呼吸を整えながらもゆっくり頷いた。
そして
「だから、今あるものを考えようよ。今自分が持っているものがあることに感謝しようよ。その方が、楽にならない?」と言った
僕はまた、頷いた。
その後
「よしっ。わかったならそんなこと忘れて遊ぼうか。今日は何するー?」
と、完全に呼吸を整え、泣き止んだ後、僕らはいつものように遊び始めた。
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