僕と喋る猫。

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それからも僕は、クロと一緒に色々な体験をした。 時には一緒に近くの川に行って釣りをして、 時には親友のコウの家で日が暮れるまで遊んだ。 一緒に笑って、一緒にはしゃいで、一緒に驚いて。 そんな日々を繰り返していたある日。 クロと出会ってから、1番嬉しかった事が起きる。 ──右は、東京都本部小学生作品コンクール 作文の部において、優秀な成績をおさめたとして、これを賞する。 僕の書いた作文が、賞を取ったのだ。 話の内容はもちろん、クロとの日常についてだ。 今までやったことの中から思い出深いことに、自分の考え、思いを加え、書いた。そしたら、それが思っていた以上、いや、思ってもいなかった事になってしまったのだ。 もちろん、クロが喋れる猫なんて事は書かなかったけどね。 賞を取ったことに、みんなが褒めてくれた。 学校の友達、親友のコウ、先生方。 そして、お母さんも 「すごいわね!よく頑張ったじゃない!!」 と、褒めてくれた。 とても、とても嬉しかった。 ──「まぁ、僕だけのお陰じゃなくて、クロのお陰なんだけどね。」 クロにその出来事に話している最中、 そんなことを言った。 僕が賞を取ったことについて喜んでくれていたクロは、その言葉を聞いた瞬間、小さく首を振り 「これは僕のお陰なんかじゃないよ。だって、これは君が書いた作文じゃないか。僕は君と日々を過ごしていただけだよ。君の正直な文と、考えが、この結果をもたらしたんだ。」 そう言ってくれた。 何か反論しようとも思ったけど 「クロ。ありがとう。」 「うん。どういたしまして。」 「これからも、よろしくね。」 こっちの言葉が、先に出た。
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